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2019年06月11日

パブカズコ 第2回 ゲスト:池上 比沙之

「パブカズコ」という名のネット配信番組がある。
ドラマーの羽生一子が歌手の鈴木麻美をパートナーに、毎回異なるゲストを迎える対談番組である。
生放送で中継し、その後アーカイブをいつでも見ることが出来る。
ぼくは裏方(企画やディレクション)で制作に関わっている。

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先日その番組の第2回目が放送されたが、その内容がとても興味深いものだったのでここにもご紹介したい。
この回のゲストはジャーナリストの池上比沙之(いけがみひさし)さんだ。

番組に使用したプロフィールは下記の通り

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池上比沙之(ジャーナリスト)

1946年東京生まれ。
出版社で広告ADとコピーライターとして仕事をしながら『詩学』『ジャズ批評』などに寄稿している中『FMレコパル』創刊ライターに誘われ、やがて多忙のため退社。同時期『STEREO』誌にアメリカのオーディオエンジニアたちのルポを連載。
80年代には、FM東京『ライブ・フロム・ザ・ボトムライン』のパーソナリティ(月〜金曜)番組終了後には、JFNのネットワークで毎日曜日に生放送で様々なジャズを紹介。
日本最大のジャズ野外ライブ、『ライブ・アンダー・ザ・スカイ』の生放送に出演。そのプロモーションで、来日直前のマイルスやサンボーンにインタビューするなど、多くのミュージシャンとの親交から話を引き出した。
また、旧知の仲だったハーモニカ奏者のリー・オスカーと古澤良治郎とのコラボに関わる。

現在は、ライブの現場からは距離を置き、インターネットのブログなどで文筆活動を行っている。
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多くのジャズミュージシャンとの交流や逸話がある中から、今回はジャズの帝王マイルスデイビスにインタビューした(!)時の話やWARのハーモニカ奏者 リーオスカーとドラマー古澤良治郎を引き合あわせた時の話を中心に伺っている。その話ももちろんとてもおもしろいのだけれど、その後番組終わり近くに「最近はどんなことに興味があるのか?」という問いに対して出てくる言葉がとても示唆に富んでいた。

例えば「物事を、あるがままに、ただ、見たい」と仰る。詩人ランボーの見者(けんじゃ)という言葉を例に挙げていた。
「あるがままに見る」というのは簡単そうで、実はとても難しいことだ。
まず第一に、ぼくたちは物事を全て見ているかというと、意識的に認知しているのは0.1%くらいの事象でしかなく、大半の物事は無意識に処理されている。99.9%を僕たちは見ていないのだ。
そこをくぐり抜けた0.1%についても、認知のバイアスというものがあって、自分では気付かなくとも何らかの形で事実を歪曲してしまっていることが多々ある。
そうでない場合にも、ぼくたちは物事(世界といってもいい)を見聴きした時に何らかの「意味づけ」や「価値判断」を行っている。
その「意味づけ」「価値判断」に基づいて、喜んだり怒ったり、走ったり止まったり、感動したり無視したりするわけだ。
だから、物事を、意識的に捉えながら、そのまま歪めずに受け止め、なおかつ「意味づけ」や「価値判断」を行わずに「あるがままに見る」というのは、非常に難しい。

もしかするとそれは「彼岸からの視線」に近いのでないか。
現世の様々な出来事を、価値判断やそこへの干渉、関係を全く抜きにして、しかし愛情を持ってしっかりと見届ける。これはもうご先祖様の視点、この世を去った者がこの世に残した者を見るような視線にほかならない。

そしてそういう視線、あるいは聴き方、というものが、表現者にとってとても重要なことであるはずだ。(それは何故か、そこはまたあらためて整理したい)

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そんな風に、ひとつひとつ噛みしめると深ーい味わいのある言葉が、池上さんからは軽やかにぽんぽんと出てくる。
番組の終わり間近に、パブのママとチーママの二人に対する音楽家としてのアドバイスのようなメッセージがあるのだが、それもどういうわけか、言われた二人だけでなく、それを聞いた人誰でもを勇気づける力を感じるのだ。

1時間ほどの番組である。
番組名に「パブ」とある通り、各自好きな飲み物やおやつ、または酒とつまみなどをご用意いただき、のんびりとご覧いただきたい。

by iidamasaharu

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